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日記第10回銃検編
10.銃砲刀剣類の検査

毎年4月になると通称『銃検』と呼ばれる恒例行事があります。銃所持者にとっては、これが来ると「春になったなぁ」と感じさせるイベントになっています。ここで紹介する事例は東京のある所轄警察の場合です。東京でも他の所轄、または他の道府県では異なるかもしれません。

10-1.銃検とは

銃砲刀剣類の検査(通称:銃検)とは、1年に1回4月に行われるイベントで、銃の所持者全員が受けなければならないものです。大抵は警察署へ、地方によっては射撃場や公民館みたいなところで行われる場合もあるようです。そもそもの目的は、たまに検査をして違法な改造等をしてはいないか、盗難・紛失になっていないか、などを確認することです。
ちなみに所持している銃を「修理」することは問題ないですが、「改造」は資格のあるものがすることになっています。また、改造した場合はそれを証明する書類を持って許可の取り直しまたは許可証の書き換えが必要となります。

10-2.概要

大抵3月の中旬くらいに所轄警察署から案内と書類が送付されてきます。この案内に従って検査を受けます。検査の日付・場所は指定されていて、原則としてこの日に受けなくてはいけません。しかし、都合で指定日に受けられない場合は、事前に連絡して係官と相談しましょう。

必要なものは、

* 所持する銃砲刀剣類
* 所持許可証
* 前年の狩猟者登録証の写しまたは狩猟者記章(狩猟用途の銃)
* 過去3年間の射撃実績の記録(標的射撃用途)
* 鉄砲保管庫の設置場所の略図および保管庫の写真
* 弾の購入状況の資料

となっています。これらを持って指定された場所へ赴いて検査を受けることになります。

10-3.実際に行ってみました

当たり前ですが、実際に行ってきました。

銃をケースにしまう時に、ふと考えたのですが、検査の際にチェックするのは銃の全長と銃身長です(私の所轄ではリブの穴の数もチェックしますが)。ということは先台は付けていかなくても良いのではないだろうか、付けていかない方が安全上も好ましいのではないだろうか(上下に連中の場合、先台が付いていないハンマーが起こせません)。ちょっと考えましたが、あとで出直しになるのも嫌なので持って行くことにしました。

車で所轄警察署まで行くと、いつもは入れてもらえない建物裏の駐車場へ誘導されます。開始予定時刻の15分前くらいなのに、駐車場には車が溢れています。会場となる講堂へ行くと、既に20人近くの人が並んでいます。車の台数より多いなぁ、と思って皆さんの手にしているものを見ると、ガンケース以外に普通のバッグを持っている人がいます。その人は明らかに建築関係の作業員といった感じです。何だろう?と気になって見ていると、その人がバッグから出したものは、鋲撃ちの機械でした。そういえば教習の本にそんな記述もあったっけ。

さて肝心の検査ですが、まずは受付で氏名を確認されます。氏名に間違いがなければ、銃を組んで検査員のところへ書類と一緒に持っていきます。私の所轄では銃の全長、銃身長、サイドリブの穴の数、銃番号、などが確認されます(散弾銃の場合)。銃の検査が終わったら銃をケースに戻して、別の係員のところで保管状況の確認です。事前に用意した書類を提示して2,3の質問に答えて問題がなければ終了です。混んでいなければ30分もあれば終了してしまいます。私が検査を受けていた間には、問題らしい問題は起こっていませんでした。他の所轄の方の話を聞くと、自動銃の弾倉(2発まで装填可)を改造していた事例があったとか。当たり前のことですが、違法な改造は止めましょう。

(管理者注:一般的には検査条項は全長、銃身長、銃番号、形式、弾倉装填数となります、ライフル等では照準器等は取り外した状態でOKです。口径の確認は交換チョークの銃・銃身はチョークを外した状態の口径で検査します。競技用ライフル等、銃の全長など調整出来る銃の場合は最短の状態で全長を検査します。)

同じ会場内で銃安協(銃砲安全協会)の入会等の受付もしていました。実は銃検のお手伝いを銃安協の皆さんがしています(所轄によっても違うようですが)。その他、年に1回か2回の射撃会も開催しているようです。入会は強制ではありません。車のなんとか協会と同じと思えば間違っては無いと思います。私は一応入っているので今年度の会費を納めました。

(管理者注:これは東京都の場合です、首都圏の皆さんは御存じの通り、お役所の外郭団体の持つ意味が構造改革の流れの中でいろいろと問題視されているのは、ネットや射場井戸端会議で皆様御存じの通りです。交通安全協会と同様に考えて各自適切な対応をするべきでしょう。)

これで銃検の手続きは全て終了です。

なお、先台について検査官に聞いたところ、付けた状態で検査を受けたほうが良いとのことでした。安全上は先台は無いほうが好ましいですが、先台まで含めて検査しているとのことでした。修理等で持ち運ぶ際は、先台は一緒にしないほうが好ましいとのことでした。
【注】これは私の所轄での回答なので、他の地域ではそれぞれの所轄警察署に確認してみてください。

(管理者注:先台は必ず持参して装着して検査を受けて下さい、銃本来の機能が正常であるかどうかも検査の要項です。主要構成部品が欠損した状態で検査は受けられません。また修理等の場合も基本的に銃部品だけでの修理発注は出来ません、必ず先台を含めた主要構成部品は総べて揃った状態で修理引き渡しして下さい。修理発注者の判断で部品等外しての修理依頼では正常な動作を出来るかの確認が出来ません。かならず銃砲店には総べてそろった状態で持ち込んでくださいね。)

10-4.気になること

銃検で面白かったのはいろいろな銃が見られたこと。検査官の検査を並んで待つ間に、あちらこちらで愛銃自慢や質問大会が開催されています。特にライフルを所持されている方々は、スコープや銃身(ライフリング?)引き金の落ち具合から装弾(カートリッジやリロード)に関することまで熱い議論を戦わせていて、検査に来たのかしゃべりに来たのか判らない状況です。銃が好きな人は、目の前にいろいろな銃が並んで興味津々となっていたようです。さすがに私のボロ銃には誰も興味を示しませんでしたが。(^^ゞ
気になったのは会場に来ていた銃所持者が高齢者ばかりだということ。射撃であれ狩猟であれ、銃所持者の底辺が少しでも広がるようにならないと、少しオーバーですが、銃検にくる人の大部分が建築関係者なんてことになりかねない気がします。銃砲メーカーや銃砲店など業界関係者の方々、日本クレー射撃協会を頂点とする協会関係者の方々には、更なる努力を期待したいところです。

(管理者注:この件では殿下のようにコラムや射撃大会などを通じて射撃の楽しさを伝えてくれる仲間が一番の力でしょう、現在、初心者や高齢者などをフォローする大会や指導会等開催する競技団体も存在しない現状では、われわれユーザーが自助努力で若い人達を仲間に入れて行く必要があると思います。狩猟主体での勧誘ではもう無理です、射撃中心の活動を展開しないと、5年後には首都圏の銃所持人口は5分の1になるでしょう、もっともこの人達は射撃場にはあまりきませんから、銃所持者全体の数は減少しても実質的な射撃人口が増加すればよいので、これを読んでいるあなたが一人でも仲間を増やせば射撃人口は倍増です、がんばって下さい。なお狩猟をする人は銃も弾も買わないので、銃砲店を支えていけません、狩猟主体では5年後には国内銃メーカーは無くなり、銃砲店も半減、射撃場も半減するでしょう、これは仕事で業界に多少はかかわっている者として断言できます。なお射撃をするのに銃を所持することはなんら非難される事ではありません、いろいろな差別と戦っている人達と同様に我々ももいわれなき差別と戦って行く必要があります。今回注釈が多くてごめんね殿下。)