第5回
射撃を始めるぞ!銃の選択編
とうとう来ました、銃選びです。

§7.銃の選択、用品

さて、ぎりぎりであろうが余裕であろうが、射撃教習の考査にも合格し教習終了証明書を入手したら、残す手続きは所持許可申請のみです。その所持許可申請の手続きに話を移す前に銃の選択について触れておきます。

7-1.銃の種類

一般的にクレー射撃に利用されている銃は、上下二連銃・自動銃・リピーター銃の3種類です。

●上下二連銃
銃身が上下に二本並んでいます。従って、弾を2発まで装填できます。競技としてのクレー射撃は、種目に拠らず、この種類の銃が圧倒的多数です。上下二連銃の中でも幾つかに分類され、競技毎(トラップ、スキート、フィールドなど)に微妙に異なります。

●自動銃
薬室(発射される弾が装填されている場所)、弾倉(次の弾が装填されている場所)合わせて3発の弾を装填できます。また、弾を発射した後、薬室からの排莢(薬莢の排出)と次弾の装填が自動的に行われます。

●リピーター銃
ポンプアクション銃またはスライドアクション銃とも言います。装填できる弾数は自動銃と同じですが、排莢と次弾の装填を射手が行う必要があります。その昔のTVドラマで「大門さん」が使用していた種類の銃です。

なぜ競技としてのクレー射撃で上下二連銃が圧倒的多数かと言うと、自動銃やリピーター銃では稀に1発目の排莢・2発目の装填が上手くいかない場合があります(自動銃の場合は回転不良と呼ぶらしい)。このようなことが起こると当然ですが、1点を争う競技では不利になります。また、自動銃・リピーター銃では薬莢が右側に排出されます。このためトラップでは右側の射台にいる方に嫌がられたりする場合もあるようです。逆にスキートではお楽しみの範囲であれば、自動銃・リピーター銃の利用者は多いようです。
この他、水平二連銃(2本の銃身が水平に並んでいる)や単身銃(銃身が1本の単発銃)もありますが、主に狩猟目的で利用されていて、クレー射撃では見かけないようです。

7-2.銃の選択

銃の選択は初心者が悩む大きな問題のひとつと思います。価格も安いものではありませんし、諸先輩からアドバイスを貰うと、聞く人聞く人違うことを教えてくれたりします。これで正解と言う基準はないのですが、私が貰ったアドバイスの中から納得できる何点かを紹介します。なお、私は上下二連銃しか眼中になかったので、その他の種類の銃については以下が当てはまるか判りません。

●競技にあった銃を選択する
トラップにはトラップ銃、スキートにはスキート銃のように、その競技に合わせて造られた銃を選びましょう。スポーティング銃というタイプの銃もありトラップ・スキート銃の中間のような感じなのですが、これもスポーティングクレーという競技用に造られた銃なので、トラップ・スキート兼用という訳にはいかないようです。

●値段と的中は必ずしも比例しない
銃の価格は彫刻とか銃床に使われている「木」によるところが大きいそうです。オリンピックや国体選手クラスでは、高価な銃の微妙な違いが問題になるのでしょうが、初心者ではほとんど判らないらしいです。重さやバランス(持った感じ、というやつです)、外観に関する個人的な好み(彫刻の有無)、自分の予算などで決めれば良いかと思います。

●自分の気に入ったものを
予算の都合もあるでしょうが、自分の都合が付けられる範囲で気に入ったものにしましょう。何か不満を持ったままで購入すると、的中しないことを銃のせいにしたくもなります。極稀に銃に問題がある場合もあるかもしれませんが、初心者の場合の問題は射手自身にあるでしょう。そんなことにならないように納得いくものを選びましょう。

●新品と中古
以上の他に銃の選択で問題になるのが、新品と中古のどちらにするかということです。どちらが良いということはないらしいのですが、当然のごとく新品のほうがメンテナンス等に関する安心感はあります。
新品を購入する時に確認するのは、輸入銃の場合で日本の代理店経由の品か、並行輸入品なのかということです。品質としてはどちらも変わりありませんが、万が一、修理をしなくてはならなくなった場合の保証内容や修理期間などが異なるかもしれません。但し、大抵の場合、並行輸入品のほうが安いです。
中古品の場合は確認することが沢山あり、私ではまだ解説できません。信頼できる銃砲店さんで購入するか、経験者に確認して貰うようにしましょう。初心者でも確認できるのは、そのメーカーが現在存在しているかということです。存在していないメーカーの銃だと、やはり修理やメンテナンスが行えない又は高額・長期間になる可能性があります。散弾銃はあまりモデルチェンジがありませんので、メーカーさえ存在しえいれば部品の供給はあまり心配ないようです。

●予算内で
もしかすると、これが一番重要かもしれません(^o^)丿。お金が有り余っている人は関係ないのですが、通常の方は使ってよいお金にも限度(予算)があると思います。この予算内かオーバーしてもちょっとだけにしましょう。とっても良い銃を買っても、練習が出来なければ宝の持ち腐れですので、持った後に掛かる費用も考慮して購入する銃を選択するようにしましょう。

7-3.主な銃器メーカー

私も全く知りませんでしたが、実はクレー射撃に用いられる散弾銃を作っているメーカーはかなりの数があり、国産メーカーまであります。全部のメーカーなんて説明できない(知識がない)ので、どの銃砲店でも見かけて購入することが出来るメーカーを簡単に紹介します。

●ベレッタ(Beretta
イタリアの銃器メーカーで、一般の方には散弾銃より映画に出てくるような小火器(拳銃)のほうが有名かもしれません。私もそうでした。オリンピックでも使用・メダル獲得の実績も豊富で、まさに代表的な散弾銃メーカーです。ラインナップは初心者向けから競技モデルまで満遍なく揃っています。

●ペラッチ(Perazzi
ベレッタと同じくイタリアの銃器メーカーで、オリンピック等での実績もベレッタと双璧をなす有名な銃器メーカーです。ラインナップは上級者用競技モデルで、価格も高価です。

●ミロク
日本で最大手の猟銃メーカーです。高知県に所在して、関西方面では特に強いらしいです。米国ブローニング社にOEM供給を行っているそうです。ダブルトラップの新井由可選手がこちらのメーカーの銃(7000-SPORTING-G3)を使用しているそうです。

新SKB工業
こちらは茨城県に所在する国産猟銃メーカーです。着脱可能なトリガーシステムを採用するなど、意欲的な製品を提供しているようです。なお、2002年高知国体のトラップ優勝の三浦和郎選手(MJ-9)、スキート優勝の折原研二選手(MJ-7)がこちらのメーカーの銃を使用しています。

上に紹介したメーカーは、主に上下二連銃を製作していますが、自動銃・リピーター銃ですと、レミントン(Remingtom、アメリカ)やベネリ(Benelli、イタリア)が有名です。

7-4.購入

ちなみに私はある方から紹介を受けて、個人売買で銃を譲って頂きました。個人売買だと銃砲店さんより若干安く買えますが、使う前にメンテナンスをする必要があると結局は銃砲店さんへ持ち込むことになります(勿論、費用も掛かります)。私の場合も、銃砲店さんへ分解清掃をお願いしたら、機関内部で錆びが見つかり、メンテナンス・部品交換をする必要がありました。幸いにも銃砲店さんの厚意で安く済みそうですが、これで多額の費用が掛かると安く買った意味がありません。信頼できる方から購入する場合や経験者に相談できる場合を除いて、個人売買は初心者には敷居が高いのでお薦めできません。銃砲店さんから購入することをお薦めします。銃砲店さんに相談すれば見積もりを作ってくれる(はず)ですので、予算内で気に入ったものを選択しましょう。

7-5.銃以外の用品

銃(散弾銃)以外に、必要またはあったほうが良い用品を紹介します。

ガンロッカー
ガンロッカーの設置は法令で定められています。構造にも規定がありますので銃砲店さんで売られているものを購入するのが早道です。
装弾ロッカー
これにも法令の規定があります。ガンロッカーと同じように銃砲店さんで売られているものを購入しましょう。なお、専用利用できるなら金庫でも大丈夫です。
ガンケース
銃は必ずケースに入れて運搬することとなっています。ハードタイプとソフトタイプがあります。
射撃ベスト
無くても出来るみたいですが、ほとんどの方が着用されていますので、必須と思ったほうが良いでしょう。日本製と外国製がありますが、イタリア製品がお洒落で良いです。
イヤープロテクター
イヤーマフともいいます。耳(聴力)保護のために必須です。耳栓でも可。
アイプロテクター
シューティンググラス(眼鏡)です。サングラスでも代用できるようですが、色の薄いものに。スキートをやる方はあったほうが良いそうです。クレーの破片が自分のほうに飛んでくることもあるそうですから。
帽子
野球帽のようなもの。やはりスキートをやる方は、あったほうが良いそうです。理由はアイプロテクターと同じ。
空撃ちケース
装弾を込めないで空撃ちすることは、銃にとって良くないそうです。そんな時に役に立ちますので。
お手入れ用品
銃は使えば汚れます。そのままでは錆びたりしますので、きちんとお手入れが必要です。お掃除道具とオイルがセットになったものがあります。

購入する銃が決まったら、さあ所持許可申請です。